石油連盟の「油流出に関する国際シンポジウム」は、OPRC条約が発効した1995年に「国際協力と石油業界の取り組み」をテーマとして第1回を開催し、以来回を重ね今回で15回を数えることになる。この間、将来起こりうる大規模な油濁事故災害に備えるために、これまでに発生した大事故の教訓を学び、また対応技術と資機材の開発動向等に関する情報を得、さらに国際的な人脈を形成・維持することに主眼を置いて行ってきた。
前回（2010年）のシンポジウム以降も国内外で多くの事故が発生しており、特にメキシコ湾の「ディープウォーター・ホライズン」油流出事故、日本の地震と津波災害、中国渤海湾とニュージーランドの油流出事故等では、影響が広範囲に及び対応への準備のあり方が問題として挙げられている。然しながら、海運業界と石油業界の絶えざる努力、国際的な条約、協定による事故防止策、事故発生後の被害極小化のための対策等、関係者の協力により、大規模流出事故や壊滅的な被害は大幅に減少している。
石油業界は、最近の事故の状況から見て、事故対応への備えをより一層実情に即し且つ維持可能なものとするよう、「準備」という課題に注目している。このような状況の中で、今回のシンポジウムは「大規模油流出事故への準備」をテーマとした。経験豊かな、国際的な油濁対応組織、石油会社、その他の関連機関を招聘して、このテーマについて討論を行い、今後の検討に資することとしたい。

準備が成功への道を開く
− ディープ・ウォーター・ホライズン
    油流出対応における海洋流出対応会社（ＭＳＲＣ）の
    ケーススタディ −